不眠症~改善・解消
おやすみ前の3分対策



不眠症とは何か~不眠との違い


不眠症は「睡眠障害」とも言い、以下のいくつかのタイプにわかれます。


・寝つくのに時間がかかる「入眠障害」
・寝ついても夜中に何度も目がさめてしまう「中途覚醒」
・寝つきはよいが、ふだんより数時間早く夜明け前に目がさめる「早朝覚醒」
・よく寝たはずなのに眠りが浅く、ぐっすり眠った感じがない「熟眠障害」


そして肝心なのは、このような状態が1ヶ月以上などの長期間にわたって持続することにより、精神的苦痛を感じたり社会的に支障をきたす状態になってはじめて、「不眠症」と呼ばれることです(不眠症とは(睡眠改善委員会)ご参照)。

「この1~2日は、仕事のストレスで眠れない」というのは単なる「一過性不眠」にとどまり、「不眠症」ではないわけです。


また、睡眠時間が平均よりかなり少ないからといって、不眠症と診断されることもありません。



あくまで本人が今の睡眠時間で安眠感を得られているか、日常生活に問題が生じているかが、判断のポイントになります。


そもそも睡眠時間は、人によっても大きく差があります。


NHKの2010年の調査によれば、日本人の平均睡眠時間は一日7時間ちょっと。

働き盛りの40~50歳代に至っては、平日の睡眠時間は男女とも6時間台となっています。


ちなみにカリフォルニアで行われた大規模な健康調査によると、「死亡リスクがもっとも低かったのは睡眠時間が7時間のグループ」との結果がでています。

ただし睡眠時間は、かりに平均とされる7時間に比べて短くとも、日中に強い眠気を感じるということが無ければ特に問題は無いとされています。


仕事の生産性や注意力を大きく落とすほどの眠気や疲労感・不快感を感じず、かつ精神的安定を保っていられるのなら、たとえ睡眠時間の絶対量が短くてもあまり気にする必要はない、と言ってよいでしょう。


高齢になってくると睡眠時間は徐々に短くなってくるのが普通であり、高齢者が無理に平均睡眠時間を確保しようとすると、逆に不眠に悩まされることもあります。

なにより睡眠は時間のみならず、その質も問われることは言うまでもありません。


では、不眠(Poor sleep)を超える「不眠症(Insomnia)」は、病気と言ってよいのでしょうか?

はい、これはれっきとした病気となります。


ただし、日本人の5~10人に1人が不眠に悩まされるなか、誰にでも起こりうるごく普通の病気なのです。

不眠症かもしれないと思い当たるならば、心療内科や神経内科、内科や精神科の専門医の診察を早々に受けるべきです。


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病気・心身異常としての不眠症

不眠症


不眠症は、単純に眠りが得られなかったり途切れたりすることにとどまらず、「特定の心身の異常や病気に伴う一症状」として起きる場合もあります。

このような場合は、専門的な治療が必要になります。


該当するケースはいろいろありますが、以下にいくつかを示します。


●うつの症状としての不眠症(睡眠障害)

うつ病の場合、眠れない・夜明け前に目が覚めるといった不眠症状が、よくみられるところです。

傾向として、睡眠不足のために午前中は無気力で具合が悪く、夕方から夜にかけて元気を取り戻す人や、眠れないままに一日中ベッドの中で過ごす人が多くいます。


特に最近問題となっているのが、働き盛りの世代に広がる「うつ病」の背後に、「不眠」「不眠症」が原因ないし症状として潜んでいることです。

うつ病患者のおよそ8割が、不眠の問題を抱えているそうです。

また逆に、2週間以上不眠が続いている場合は、それがうつ病のサイン・初期症状である可能性もあります。

うつ病だと不眠になりやすいし、また不眠が続くとうつ病になりやすいという、いわば相互関係が指摘されているのです。


米国の話ですが、不眠症の人はうつ病の発症リスクが通常の人に比べおよそ3.5倍高まるという調査結果があるそうです。

ただし不眠とうつ病の因果関係やメカニズムについては、まだはっきりしていない点も多いようです。


●睡眠時無呼吸症候群(SAS)

中高年の肥満男性などに多い病気で、眠っているときに舌がのどの奥に落ち込んで気道をふさぐため、呼吸が苦しくなり中途覚醒します。

定義として、睡眠中の10秒以上の呼吸停止(無呼吸)が5回以上繰りかえされる場合がSASに該当します。

この病気の症状として、倦怠感や日中の強い眠気・それに起因する運転事故の増加などがあげられています。


また生活習慣病を患っている方が睡眠時無呼吸症候群(SAS)を合併した場合、高血圧や糖尿病など「生活習慣病」の罹患率や症状の悪化を招くのみならず、脳血管疾患や心筋梗塞等のリスクも大きく跳ね上がるとの研究結果もあります。


●周期性四肢運動障害

眠っているときに手や足がピクピクと勝手に動くため、中途覚醒してしまいます。

眠りの浅いときに症状が出て自分でわかる場合もあれば、まったく気がつかない場合もあります。

原因ははっきりしていませんが、特に高齢者に多い症状です。


●むずむず脚症候群

日本では1990年代に入って広く知られるようになった、神経の病気です。

ふとんに入ったときに、脚がむずむずした虫がはいあがってくるような不快な感覚が生じ、眠りに入ることができなくなります。

原因ははっきりしていませんが、この病気からストレスや睡眠障害からうつ病などにつながることもあります。

今日では症状に応じた投薬治療によって、かなりの改善が見込めるようになっています。


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不眠症 さまざまな原因

不眠


不眠症には原因がありますが、その原因自体はさまざまに分かれています。


上述のとおり、うつ病などの精神性疾患や、あるいは他の器質性の病気の一症状としてあらわれる場合もありますし、神経性の症状や悩みやストレスなど、心理的な要因が原因となって起きる場合もあります。


加齢による場合もあれば、深夜の周囲の騒音などの外的環境がきっかけになることもあります。

あるいは深夜勤務が続いたり、夜型の生活を余儀なくされることによって体内時計が狂い、生活リズムが乱れてしまったために発症するケースもあります。


高血圧の人は、そのおよそ3~5割が不眠の症状を自覚しているとされます。

高血圧で交感神経が活発になることから不眠を招きやすくなったり、あるいはストレスでうつ病を合併しているケースが少なくないためです。


降圧剤や抗がん剤などの薬を常用していることで睡眠が妨げられるケースもありますし、アルコールを飲んで眠る生活を長く続けた結果、依存症から不眠症へとつながったというケースもあります。


よく知られていることですが、睡眠では眼球運動を伴う「レム(REM、Rapid-Eye Movement)睡眠」と、眼球運動を伴わない「ノンレム(Non-REM)睡眠」が、一定の周期で交互に繰り返されています。

「ノンレム睡眠」は大脳を深く休息させ、「レム睡眠」は脳と身体の緊張を解きながら記憶を整理するものとされます。

夢をみるのはこのレム睡眠の最中で、起きた時に夢の内容を少し思い出せたりするのは、脳がある程度覚醒しているためと言われます。


寝酒としてのアルコールは特にこのレム睡眠を減少させるため、眠りが深くなってよく眠れたような勘違いをしがちですが、これには2つ問題があります。


ひとつはレム睡眠の減少によって、睡眠時間そのものがかえって短くなってしまうこと。

もう一つはアルコールの力を借りて眠ることを習慣化してしまうと、無しでは寝つきが悪くなるために、心理的不安から飲酒量も増えて依存症につながりかねない点です。


ちなみに睡眠中は肝臓におけるアルコールの分解がほとんど進まなくなるため、車を運転する方が飲み過ぎると、翌朝の出勤時まで酒気が残りかねないリスクもあります。

以上のことから、不眠対策を講じる場合はアルコールの力だけは借りぬよう、肝に銘じなくてはなりません。




生活習慣の改善による、不眠の解消

薬物を使わない不眠症の治療としては、不眠の原因が何なのかを専門医の診断・カウンセリングによって特定したうえで、まずはそれを除いた生活習慣を確立することを目指すという「認知行動療法」があります。


寝る前の数時間は、アルコールやカフェイン(コーヒー・緑茶など)を避けるようにします。

特にカフェインの作用は3~4時間程度と比較的長く続くので、注意が必要です。

カフェインは「栄養ドリンク」など、意外な食品にも含まれていることがあるため、カフェインを含有する飲食品をあらかじめリストアップしておき、就寝前の摂取は特に控えるようにしましょう。


水分摂取そのものも、夜中のトイレ回数を減らすため控えるべきです(ただし脳血管疾患や腎臓病・糖尿病など持病があって、医師から水分摂取について何らかの指導を受けている方は、この限りではありません)。


寝る前に音楽をきいたり、あるいはぬるめの風呂に入るなどして、リラックスすることを心がけます。

リラックスといっても、夜遅くにサスペンスやホラー映画などを見ると神経が興奮し、脳も覚醒し逆効果なので避けましょう。

また熱いお風呂もかえって交換神経を興奮させてしまい、寝つきが悪くなってしまいます。


睡眠のためという点では、寝心地のよいマットレスや枕などの寝具・やわらかい光の間接照明・着心地のよいパジャマなどに配慮して、入眠環境を整えることも大切です。

睡眠中は体温が下がることから、寝床内の温度は体温よりもやや低い33度程度にしておくと良いとされます。


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日中はウォーキングなどの運動によって体を適度に疲れさせておくことが、夜の熟睡につながり睡眠の質を高めることからもオススメです。


眠りのための生活環境を整えるという点で意識してほしいのは、上記のように睡眠を阻害する刺激をとりのぞくことと同時に、起床時間や食事時間・睡眠時間など一日の主なイベントをこなす時間帯を、できるだけ一定にすることです。

夜の一定時間になるとカラダが自動的に眠りを欲するよう、意識して生体リズムを整えていくわけです。


朝は起床時間を決めて、起きたらすぐに外にでて日光を浴びるなど、カラダに一定のリズムを刻み込ませることが大切です。

日光を浴びることによって、睡眠に作用するホルモン「メラトニン」の分泌が抑制されます。


40歳を過ぎる頃から、加齢の影響により、上で説明した「早朝覚醒」が出てくるようになります。


早朝覚醒は不眠症の一症状ですが、目覚めが自然であってストレスを感じることがなければ問題ないとされています。

ただ早朝覚醒によって身体的・精神的な不調を感じ続けるようならば、専門医を受診すべきでしょう。


また食事では、体の代謝にかかわるたんぱく質・ビタミン群をきちんととりたいもの。

そして夕食は、眠りにつく3時間前までには終わらせるようにします。

眠る直前に空腹すぎても、また逆に満腹感を感じる状態であっても、眠りの質を落とすことがわかっています。お腹が空いて眠れないと感じた時は、ホットミルクやバナナなど胃の負担にならないものを、多少摂る程度に留めましょう。


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投薬による改善~専門医療機関の受診


生活習慣の改善以外の治療方法として、睡眠薬の服用による薬物治療があります。


薬物治療というと、反射的に「薬を常用しているとくせになる」「薬がないと眠れなくなるのではないか」といったことやその副作用について、つい考えがちですね。

これについては病院で処方される睡眠薬を指示通り服用している限り、心配しなくてよいでしょう。


日本で睡眠薬を服用しているのは、20人に1人の割合と言われます。

現在、不眠症の治療薬は1960年代に開発された「ベンゾジアゼピン系」が主流となっています。

これらは眠りを起こす脳の「睡眠中枢」に作用して、不安や緊張・興奮を抑えながら眠気を導くものです。


同じく「非ベンゾジアゼピン系」と呼ばれる睡眠薬もあり、これは多量に摂取した場合に重篤な副作用があるとして、昔は敬遠されていました。

しかし2000年前後から安全性が高く副作用の少ない「新しいタイプの非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」がいくつか登場し、今日では病院でこれらを処方される方も増えてきています。

また2014年11月には、覚醒状態の維持に関係するオレキシン受容体を阻害し眠りを導くタイプの新治療薬「スボレキサント(製品名:ベルソムラ)」も、発売が開始されました。


ベンゾジアゼピン系の薬が登場して半世紀程ですが、服用量を守っている限り副作用や依存性の心配は少ないとされます。

ただし、特に処方の初期において翌日まで薬の効き目が残ってしまい(「持ち越し効果」と呼ばれます)、眠気や倦怠感・体のふらつき等を感じるときがあります。


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睡眠薬を病院から処方されている高齢者は今日ではかなりの数に上りますが、この体のふらつき(筋弛緩作用)によって起床後にぶつかってケガをしたり、あるいは室内で転倒して骨折したりといった思わぬ事故を招く危険性があるため、家族はベッドの周囲に障害物を置かないようにするなど注意が必要です。


睡眠薬は常用することによって身体の免疫力が下がり、長期的に寿命を縮めるとの説もありますし、患者側で勝手に服用量を増やしてしまったり飲む薬を次々と変えてしまったりすることで、結果的に耐性がついてしまうとの警告もあります。


また睡眠薬で難しいのは「服用の止め時」で、急に服用を中断すると、逆に不眠となってしまったり(反跳性不眠)、せん妄・不安症・めまいなどの、いわゆる「離脱症状」を呈することがあります。


今日の睡眠薬は決められた容量を守っている限り「依存性」はほとんど無いとされますが、服用し続けることで身体がそれに適応していく「習慣性」がつくことが避けられないためです。

そのため止めるときは通常、医師の指示のもと長期に渡って服薬量を少しづつ減らしていく「漸減法」がとられています。


このように睡眠薬による不眠の改善には、開始しやすく効果も得られやすい一方、「耐性」や「習慣性」の問題や「断薬の難しさ」というデメリットがあることを、理解しておく必要があります。


ちなみに、ドラッグストアなどで市販されている睡眠薬は、正式には「睡眠改善薬」であり、病院で処方される睡眠薬とは成分も異なっています。

市販の「睡眠改善薬」は、風邪薬のなかにも入っている「抗ヒスタミン剤」が配合されていますが、これはアレルギーの薬の副作用となる「一時的に眠気をもたらす作用」を利用したものです。

あくまで一過性の不眠に対処するための「睡眠改善薬」であって、「不眠症の治療薬」ではないことに注意しましょう。


また漢方薬をイメージされる方もいるでしょうが、漢方薬は睡眠を誘発する作用というより、不眠の原因となるストレスや、イライラした気分を除く作用が主に含まれています。

不眠対策の代表的な漢方薬の成分としては「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」「加味逍遙散(かみしょうようさん)」などがあります。

服用による脱力感などの副作用の心配をしなくてよいという点は、漢方薬のメリットです。



病院で処方される睡眠薬はいくつかのケースにわけられ、病状に適した薬が処方されることになります。


すぐに効いて眠りに入ることができ入眠障害・中途覚醒に適した「超短時間型」および「短時間型」、1時間程度で効き目があらわれて効果が比較的長く続くため、早朝覚醒や中途覚醒に適した「中間型」、そして非常に緩やかに効果が現れ効き目も長い時間続く「長時間型」、があります。


このうち「超短時間型」「短時間型」の薬としては「ゾルピデム(製品名 マイスリー)」「トリアゾラム(製品名 ハルシオン)」などがあります。また早朝覚醒や中途覚醒には「中間型」「長時間型」が向いているとされ、代表的な薬として「クアゼパム(製品名 ドラール)」があります。


眠れない日が何日も続く場合は、それが不眠症であるか単なる不眠かに関わらず、思い切って専門医に相談することが大切です。

なぜなら、医師の診察によってはじめて、病気なのかどうかや原因などが特定され、対処すべき正しい方向性が明らかになるからです。



不眠は現代人特有の悩みであり、最近は「睡眠外来」「不眠症外来」を設ける病院も珍しくなくなってきています。


同じ「不眠」でも、原因によって対策や治療法がまったく異なってくることもあります。

長期間にわたって生活の質を下げないためにも、思い当たったときは専門医の受診を心がけましょう。




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